渡部照子
TERUKO WATANABE
東京弁護士会
経歴
1974年東京弁護士会登録(21期)
私は1974(昭和49)年に事務所に入所し今日まで、皆さま方のご協力・ご支援をえて業務をさせて頂いております。
東京弁護士会に所属し、「高齢者・障害者の権利に関する特別委員会」の参与、自由法曹団、日本女性法律家協会の会員です。
受けてきたご相談
婚約破棄、離婚、成長期にある子供たちの諸問題、交通事故、個人・法人破産、解雇、労働災害・職業病、親子間の紛争、相続、遺言、後見、著作権等のご相談を受け、又、憲法を暮らしに活かす活動をさせて頂いて参りました。
更に、自由法曹団本部幹事長を務めさせて頂きました事は、望外の喜びとするところです。
暮らしの中で、さまざまな困難に出会います。
結婚約束で交際し妊娠したら彼は離れて行った。どうしたら良いでしょうか。
自分が離婚するなんて考えてもいなかった。相手があまりに非常識でした。
夫が職場で倒れ亡くなるなんて、これからどう生きていったら良いのか。
子どもをどう扱っていいか分からない、子どもなんて生まなければ良かった。
毎日、小銭を数えるような人生はイヤだ。でも、生活保護を受けたくない。
破産手続きなんてしたくない。なんとか頑張りたい。
精神科に通う毎日、どうして社会は冷酷なのでしょうか。
あんなに親の面倒をみたのに、相続分が兄弟と同じなんて納得できません。
年をとり子ども達が来てくれない寂しい毎日、長生きするんじゃなかった。
遺言書を書きたいけれど、どうしたらいいか分かりません。 等々
どんなご相談でも、自分はどう生きて来たのか、自分はこれからどう生きていきたいのか、という問いかけが必要のように思われます。
そして、自分の命が何よりも大切なこと、自分を愛していること、愛されていることを確認して下さいますことを願っております。
その確認をするために、個人史をお書きになったら如何でしょうか。あるいは、日記をお書きになることも一つでしょう。
自分を冷静に見つめ、これからの日々をつくりあげる一つの方法ではないでしょうか。
出版や監修
これまで「愛の事情」(1993年)、「紫陽花」(共著)(2012年)を花伝社から発行しております。それらの多くはフィクションですが、相談させて頂いたことをきっかけとして、昇華した物語です。
市原悦子さんの「弁護士高見沢響子」シリーズ法律監修をさせて頂きました。その際、ロケ現場に行くことがありましたが、市原様はじめスタッフの方々が互いにおもいやり、気遣う姿勢を学びました。映画・演劇など集団で作り上げる芸術作品は、互いの思いやり・気遣いの結果であることに気がつきました。
私達の日常生活も同じではないのでしょうか。
憲法擁護活動の取り組み
私の母は明治生まれで、長男の嫁となり、女子3名を出産しましたが、男子を産むことができず肩身の狭い思いをした、ということでした。太平洋戦争開戦当時に、両親は東京に住んでいましたが、東京も空襲に会うようになり、熊本県、宮崎県へと避難しました。母は、戦争で弟二人が戦死し、また、なにもかも焼かれたと嘆いていました。
戦争は、集会・結社・新聞・ラジオ・雑誌等への死刑を含む治安維持法等の厳しい言論統制下で、戦争反対の声をあげることができない状況の中、広島・長崎への原爆投下という大虐殺で終わり、国内では320万人、アジアでは2000万人という信じられない大きな犠牲を払いました。
母は、戦争が終わって5~6年たったある日、幼かった私に、もう戦争はしない、女も男と同じだと、新しい憲法に書いてあるそうよ、あなたは良い時代に生まれてきてよかったね。そして、母は続けて、仕事をもって、いつでも離婚できる女になりなさい、と言いました。
母は、自分のように何ごとも我慢を強いられる人生を歩むことがないようにと思いから発した言葉でした。
これら言葉は、私の人生を決定づけた、と思います。
私は、戦争しない平和な社会になることを信じ、自分も平和を創りあげる一人になりたいという夢を抱きました。そして、中学校で社会の時間に憲法前文を読んで身体が震えました。
前文2段落目は「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めようと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和をうちに生存する権利を有することを確認する」
なんということでしょうか。一人一人の日本人は、崇高な理想を深く自覚し、
平和を愛する諸国民から信頼される人間になる必要がある事との意味もあり、そんな人間になることができるのだろうか、という戸惑いと恐れを覚えたからです。
2024年も23年に引き続き、ロシアとウクライナ間の戦争、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺、更に、世界各地において国内で弾圧される民衆の存在等々があり、決して平和な世界ではありません。
しかし、だからこそ、国際連合の様々な人権宣言・条約等々に依拠しながら日本国憲法を活かす活動が求められていると思います。
現在は、「九条の会・中野」の代表をさせて頂いております。「銃口には花を九条には翼を」、「憲法は 戦争が残した羅針盤」という2枚のポスタ―を販売中です。英語版も作成し販売しており、街宣で外国人の方々に好評です。
ロシア・ウクライナ間等の戦争を観れば、戦は始めれば終わるのは困難であり、紛争を武力行使することなく話し合いで解決するという日本の平和憲法は、普遍の価値があることが証明されている、と思います。